ばんどこメリーランド 健やかで美味しいヤギミルクで地域を元気に

皆さんは、ヤギのミルクというと、どんなイメージがありますか?
臭い?クセがある?そんな印象を持たれる方も多いのではないでしょうか。
実は私もそんなイメージを持っていました。ばんどこメリーランドさんのヤギミルクを頂くまでは……。

GiFT NORiKURAでは、乗鞍で飼育されたヤギから搾ったミルク『メリミルク』をつかい、『のりくらヤギミルク』のジェラートをお作りしているほか、『のりくらチャイ』、生乳として『のりくらヤギミルク』もご提供しています。ヤギミルクのジェラートはGiFTで一番人気のジェラート。 優しい甘み とクセのないさっぱりとしたあと味にびっくりされる方も多く、GiFT看板商品となっています。そんなメリミルクを生産しているばんどこメリーランドさんから、お話をうかがってきました。

ばんどこメリーランドとは?

取材当日は、現在ばんどこメリーランドを運営しておられる10人程のメンバーさんの中から代表して原美香さん、筒木秀子さん、八田夏恵さん、中原由紀子さんの4人の方からお話をうかがいました。

右からメンバーの美香さん、秀子さん、夏恵さん、由紀子さん

集まっていただいたのは、八田さんがご夫婦で営まれているカフェ&バー『Spring Bank』さん。
ばんどこメリーランドのヤギたちがいる場所からも歩いてすぐ。乗鞍高原の入り口の番所(ばんどころ)地区にあるお店です。

ばんどこメリーランドの皆さんは、どんな集まりなのでしょうか?

由紀子さん
「この番所地区は、地区内にもともとあった『いがやスキー場』が営業終了してしまってから、少し寂しくなってしまったんです。また、スキー場跡地の景観整備も課題でした。その番所地区を自分たちの手で何とか元気にできないだろうか、というところから始まりました。」

いがやスキー場は、2013年3月に終了したスキー場。かつては、ファミリー層を中心に賑わいのある人気のスキー場でした。そのスキー場がなくなったこの地区を「元気にしたい!何とかしなきゃ!」と立ち上がったのは、地区内でお宿やお店をしている女性たち。ご自身のお宿やお店を営むかたわら、この地区のために何かできることはないかと考え始めたそうです。

美香さん
「スキー場跡地の景観整備のために草刈りをする必要があって、そのために地区の住民組織『旧いがやスキー場の景観を考える会』で協議してヤギの飼育が始まったんです。その後、飼育しているヤギからミルクが搾れるというので、これは何かできそうだ!と思ったのが始まりで……。」

ばんどこメリーランドのヤギ達。おいしい牧草を食事中。
※ばんどこメリーランドFacebookページより

そこから「ばんどこファーム」として活動が始まり、長野県からの支援金である『元気づくり支援金』の補助事業として、プロジェクトが動き出しました。旧いがやスキー場のチケットセンターだった建物を利用して工房設備を整え、また乳製品の取り扱いの許可や菓子製造・販売許可を少しずつ取って、ヤギミルクの有効活用を形にしてこられたのだそうです。

この動画は、2015年に地元、大野川小学校の子ども達が先生たちと制作した、ばんどこメリーランドをPRするオリジナルCM。当時、県内のCMコンテスト「ふるさとCM大賞」に出場し、大賞を受賞して乗鞍中が大喜びに。話題作になったそうです。
子どもから大人まで、地元をあげて応援されているプロジェクトなのですね。

様々な商品に変身したメリミルク

秀子さん
「今、ばんどこメリーランドでは、メリミルクとして提供しているほか、上高地の某有名ホテルに勤めていたパティシエの方(乗鞍在住)に依頼して、クッキーやマドレーヌ、パウンドケーキを焼いてもらい、商品として提供しています。どれも素材にこだわった焼き菓子なんです。」

2015年から、工房に『ばんどこメリーランド』としてカフェスペースとショップを設け、焼き菓子やメリミルクのソフトクリームの販売を始めた皆さん。2018年にアウトドアレクリエーション施設『乗鞍BASE』がオープンしてからは、同施設内のカフェシヨンで商品を販売しはじめました。 焼き菓子もソフトクリームもお客様から好評なのだそうです。

乗鞍BASEで販売されている焼き菓子。奥にいるのはプロジェクトメンバーが手縫いしたぬいぐるみのミルキーちゃん。
※ばんどこメリーランドFacebookページより

そして、2019年夏からはGiFT NORiKURAにもジェラートの原料としてミルクを提供いただいており、開店直後から大人気のジェラート「のりくらヤギミルク」へと変身したのでした。

GiFT NORiKURAで看板商品のジェラート
「 のりくらヤギミルク」

そうそう。これは私自身も実感しましたし、多くの方から同じ感想が寄せられるそうなのですが、メリーランドさんのミルクの美味しさを味わうと、一般的に『臭みがある』とか『クセがある』といったヤギのミルクの印象がガラリと変わってしまうんです。

その美味しさの秘密はどこにあるんだろうと、更にお話をうかがってみると……

メリミルクはなぜ美味しい!?

美香さん
「多分、ヤギのえさの違いだと思うんです。私は以前、いろんな所のヤギのミルクを試飲したことがあるんですが、どこももっと臭みがありました。草臭いというかな。それで何が違うのかなと調べてみると、ヤギが食べている草が違うんですね。メリーランドのヤギは、飼育している民雄さんが、かなり草にこだわってくれているんです。」

民雄さんにくっついて歩くヤギ達
民雄さんについて歩くヤギ達のようす

民雄さんというのは、同じ番所地区に住んでおられる齋藤民雄さんのこと。ヤギの飼育を担当されている方です。

由紀子さん
「ここは良い牧草地が広がっていて、民雄さんが気を配って管理してくれています。冬の間も夏の牧草を干し草にしたものを食べさせていたり、かなり草に手をかけてこだわっているんですよね。」

夏恵さん
「また、民雄さんがヤギ達をすごく愛情深く育ててくれているんです。それはもう、可愛がりすぎるくらいに。(笑)」

秀子さん
「私たち自身も、『臭みがない』『クセがない』『コクがあるのにさっぱりしている』『優しい甘みがある』そんなメリーランドのミルクは本当に美味しいと思っていて、どこにも負けないヤギのミルクだと思っているんです。」

広々した牧草地。悠々とした環境です。ここで現在は7頭のヤギが飼育されています。
※ばんどこメリーランドFacebookページより

なるほど。この乗鞍に降り注ぐ太陽を浴び、清涼な空気のなかで元気に育つ良い牧草を食べるヤギ達。そして、広々とした牧草地を悠々と歩き回るヤギの姿を見たり、愛情深く飼育される民雄さんのことをうかがうと、健やかに育つってこういうことなのかなと思わずにはいられません。そんな健やかなヤギのミルクは、なるほど美味しくなるはずだ!と納得したのでした。

※ばんどこメリーランドでは、ヤギ達がストレスなくのびのびと生活できるよう、衛生面や疫病対策など様々な面で留意しながら飼育しています。そのため、 残念ながら ヤギとのふれあいや見学の受け入れはしていません。もしお近くにいらした際にヤギ達の姿が目に留まったら、近づいてヤギ達に触れたり大きな声で驚かしたりなさらず、遠くから見守っていただけるとありがたいですとのことです。

毎朝搾るフレッシュで美味しいメリミルクを広めたい

ヤギの搾乳は、民雄さんの奥さんの秋子さんが毎朝されているそうです。

ばんどこメリーランドのメンバーの一部。中央で座っているのが飼育担当の民雄さん。右端が搾乳担当の秋子さん。

その後、美香さんがミルクの殺菌処理を担当し、注文を受けた場所へと運ばれていきます。
GiFTへも、朝に絞られたミルクがフレッシュなままお店に運ばれ、ジェラートへと変身。このフレッシュさもまた、美味しさの秘訣なのだろうと思います。

GiFTの他に、どんな風にメリミルクが活用されているのかとうかがってみると……

美香さん
乗鞍BASEさんやGiFTさんの他には、乗鞍内のお宿さんからも注文が入ります。また、松本市のフレンチレストランにも納品しています。」

夏恵さん
「でも、まだまだ供給可能なんです。いい活用法がないか、私たちも考えているところで……。」

ヤギのミルクは牛乳と比べて栄養価が高いそうです。脂肪球が牛乳と比べて小さく、消化されやすいので、牛乳だとお腹を壊してしまうなんていう方にも飲みやすいミルクなんだとか。アレルギーについても牛乳に比べると発症率は少ないそうです。①栄養価が高くて②消化しやすく③アレルギーになりにくい(※1)という3拍子揃ったヤギのミルク。そしてメリーランドのミルク「メリミルク」は、更に④甘みがあり美味しいが加わります。そんなメリミルクをもっとたくさんの方に味わっていただきたいなぁと私も切に願います。

(※1) すべての方にアレルギーが発症しないとは限りません

ヤギさん

ばんどこメリーランドのこれから

私は取材のなかで初めて知ったのですが、実はこの乗鞍含めた周辺の地域では、昔からヤギと共に日々の暮らしがあったそうです。

由紀子さん
「昔は自宅の敷地内の草刈りをヤギにしてもらったり、そのヤギのミルクを飲むのも日常のこと。母乳が出ないお母さんの子どもはヤギのミルクで育ったという人もいるくらい、ヤギとの距離が近かったんですね。私は(他県から)お嫁に来るために初めて主人の家にあがる時に、玄関口にヤギがいてビックリしたのを覚えています。」

※ばんどこメリーランドFacebookページより

もともと乗鞍とヤギは、深いつながりがあったんですね。
でもその後、時代の流れの中で、乗鞍ではヤギを飼う家庭もなくなっていきました。

今、 ばんどこメリーランドさんは、どんなことを考えているのでしょうか。

美香さん
「もっと販路を開拓して、ヤギのミルクを有効活用したいと思っています。それと、ゆくゆくは、このおいしいメリミルクをつかって、チーズやヨーグルトを生産できたらなとも思っています。」

夢は広がりますね。
現在皆さんは、乗鞍を訪れる修学旅行生に向けて、比較的簡単につくれるカッテージチーズ作りの体験を提供しているそうです。でも、本格的なチーズを生産し販売していくには、設備や人員が新たに必要になるのだとか。

美香さん
「なかなか、本業の傍らでできる仕事ではないので、私たちには限界があって。専業で、チーズ作りを含めた新商品の開発や、販路開拓のために動ける人がいたらなぁと思っています。」
(←担い手を絶賛募集中だそうです!最高の自然環境のなか、ヤギチーズづくりに携わりたい方は、ぜひばんどこメリーランドさんへ!)

※ばんどこメリーランドFacebookページより

地域を元気にしたい!という想いで始まった、ばんどこメリーランドさんのヤギミルクのプロジェクト。県からの支援金の給付は2017年で終わり、自立した経営を続けていくためには、販路開拓と新商品の開発、そして人員の拡充という課題を抱えているようです。でも、そんな課題を抱えつつも、皆さんの雰囲気がカラっと明るいのがとっても印象的でした。

皆さんのお話をうかがっていると、これまでトントントンと難なく進んでいったかに聞こえますが、本業の傍ら、こうして一つ一つ形にしていくのは、多くのご苦労があったことと思います。でも取材中、皆さんの明るさとパワーを感じるにつれ、そのカラッとした明るさとパワーが、ばんどこメリーランドさんを動かしていく大きな原動力になっているのかなと思うのでした。

その元気の源は……?
きっとこのヤギミルクの美味しさをわかってくれるファンがいるから。そして、何はともあれ、皆さんこの乗鞍という地が大好きだから。そしてそして、色々なことがあっても、できる最善を尽くして、大好きな地域のためにポジティブに動ける健やかな心と体があるからなのだろうなとお話をうかがいながら感じるのでした。

それと、もしかしたら、健やかなヤギミルクを常飲する皆さんは、ご自身の健やかさが日々増している!?なんていうこともあるのかもしれません。


そんな、元気なばんどこメリーランドの皆さんの手で生まれるメリミルクをつかったGiFT NORiKURAのジェラート「のりくらヤギミルク」はもうお試しになりましたか?

単品で召し上がるのももちろんですが、ブルーベリーのジェラート『アルプスブルーベリー』やいちごのソルベ『サマープリンセス』とダブルで召し上がるのもオススメなんです。

のりくらヤギミルクとアルプスブルーベリーのダブル。
さっぱりとしたブルーベリーの甘みとの相性が抜群。

また、『のりくらチャイ』にもメリミルクをふんだんに使ってご提供しています。11種の自家製ブレンドのスパイスとの相性が抜群で、毎日のように飲みに来てくださるコアなファンがいるほど。

のりくらチャイとYUM YUM TREEさんの相性はこれまた抜群

なお、メリミルクは、 現在 お持ち帰り用はありませんが、今後ボトルで販売できるよう準備中だそうです。もしフレッシュな生乳を 味わってみたい!という方は、ぜひGiFT NORiKURAへ。

店頭ではイメージキャラクターのミルキーちゃんがお出迎えしてくれ、フレッシュなメリミルクと共にお待ちしています。

ヤギミルクのイメージがガラリと変わるメリミルク。そしてメリミルクを使ったジェラートやチャイ。これからじわじわとファンが増えていきそうです。

ばんどこメリーランドさんのメリミルクについて、現在は個人の方との直接のお取引はしていないのですが、レストランさんやお宿などでお取り扱いをご希望の方は、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。(また「担い手候補の方からもご連絡お待ちしています」とのことです!!)

ばんどこメリーランド
〒390-1520 松本市安曇3974-5
TEL: 0263-87-1198
Facebookページ: https://www.facebook.com/bandokofarm/

ばんどこメリーランドの皆さん、貴重なお話をありがとうございました。これからもおいしいメリミルクを届けてください!

(記事; Ayako Momiji)

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